C 物質の性質

C1 半導体

はじめに

物質は電気をよく通すもの(例えば金属)と通さないもの(例えばガラス)があることはよく知られている。 半導体はその中間にあって、適当な不純物を添加することによって電流を運ぶ担体(キャリア)の種類やその数を大きく変化させることができる。 この特異な電気的性質のおかげで、半導体はトランジスタなど多くの電子デバイスの材料として私たちの生活に不可欠なエレクトロニクス技術を支えている。 ここでは半導体における電気伝導の現象をとりあげて、まず一般に物質の電気伝導度を決めている2つの因子―キャリア数とキャリア易動度―を分離して測定するための標準的実験法を学ぶ。 また代表的デバイスであるダイオードとトランジスタの特性を調べることにより、半導体デバイスの動作原理の基本を理解することを目的とする。
(C1 半導体 の実験装置)

参考書

[C1-1] キッテル 著 : 『固体物理学入門』 第7版(丸善,1998)
固体電子論について基礎的な知識を得たい場合には本書6〜8章を読むとよい。ダイオードについては19章に解説がある。
[C1-2] キッテル 著:熱物理学(丸善)☆
半導体の統計力学について知りたいときには本書13章を一読することを勧める。特に化学ポテンシャルについての明解な説明は優れている。熱力学、統計力学の標準的な教科書。
[C1-3] 古川 静二郎 著 : 『半導体デバイス』(コロナ社,1983)
半導体の基礎的事項、pn接合、ダイオード、トランジスタの動作等について書かれている。1〜4、10章を読むとよい。
[C1-4] ショックレー 著 : 『半導体物理学』(吉岡書店,1971)
導電率、ホール効果についてより詳しく理解したいときには本書 8, 11章を一読することを勧める。
[C1-5] 『半導体ハンドブック』(オーム社,1968)
この本のコンパクトな記述、広範な内容は役に立つ。

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